激しい痛みを伴い、身体や顔などに帯状に赤いプツプツができる帯状疱疹。治療が遅れると症状が悪化するばかりか、治ったあとにも長い期間痛みが残る場合があります。夏の疲れが出てくる秋は帯状疱疹に罹りやすい季節。帯状疱疹かなと思ったら、すぐに皮膚科に受診しましょう。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄/文:星野美穂>
水ぼうそうのウイルスが原因
帯状疱疹は、水ぼうそうのウイルスが原因で起きる皮膚の病気です。多くの日本人は子供のころに水ぼうそうを経験しています。しかし水ぼうそうが治ったあとも水ぼうそうのウイルスは完全にいなくなるわけではなく、神経の根っこ(神経節)に潜んでいるのです。水ぼうそうのウイルスはヘルペスウイルスと呼ばれています。
神経節に潜んでいるヘルペスウイルスは、普段健康なときは「免疫」によって抑えこまれています。しかし、疲れやストレス、加齢、病気などで免疫が弱まるとヘルペスウイルスは増殖し、神経を攻撃します。
これが、帯状疱疹です。
神経がピリピリと痛んだら要注意
帯状疱疹が出やすい部位は、お腹や背中などの胴体部分やひたいなど顔面です。
多くの場合、身体の左右どちらかに出現します。身体の両側にまたがって出ることはほとんどありません。
通常、ピリピリ、チクチクとした痛みから始まります。痛みと同時、もしくは数日遅れて痛みの出た部分が赤く腫れ、小さな水疱が出現します。水疱は帯状になり、やがて合わさって大きくなり、表面が破れて潰瘍になります。たいてい激しい痛みを伴います。皮疹が出ずに強い痛みだけ出る場合もあります。
その後潰瘍はかさぶたになってはがれ落ち、3~4週間で治ります。
放置すると痛みが長く続くことも
帯状疱疹は放置しておくと症状が悪化するばかりでなく、ウイルスにより神経が傷つけられ、皮疹が治ったあとも痛みが長く残ってしまうこともあります(帯状疱疹後神経痛)。
帯状疱疹かなと思ったら、すぐに皮膚科を受診しましょう。病院では皮膚の状態から判断するほか、血液検査して診断を行います。
【参考】
横浜市衛生研究所
日本医師会健康の森
大規模帯状疱疹疫学調査「宮崎スタディ」
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