トイレでない場所で用を足してしまう失禁はドラえもん風に言えば「どこでもトイレ」。失禁の多くは尿意や便意を感じながらも間に合わないことやトイレの場所が分からないことから起こります。多くの場合、落ち着きがなくなって、そわそわ・うろうろし始めたり、腰のあたりに手をもっていく“サイン”が現れるはず。そんなそぶりが見えたらトイレに誘導しましょう。一定時間ごとにトイレに誘うのも失禁を未然に防ぐ手立てになります。
安易におむつに頼らない
トイレのドアに「トイレ」などと書いた紙を張っておくのもひとつの工夫です。トイレでない場所をそう思い込んでいる場合には代わりの容器をその場所に置いておきます。
失禁しても「どうしてトイレでできないの!」「ここはトイレじゃないのに!」「したかったら言いなさい!」などと叱ってはいけません。本人が一番ショックだからです。手助けするときは安易におむつに頼らず、できるだけ自分の力で排泄できるように仕向けましょう。
1枚ずつ、順番に
認知症になると、直接、症状に関係のない身だしなみは後回しにされがち。しかし、生活に張りを与えてくれるきっかけにもなるので、衣類の着替えにも気を配 りましょう。
大切なのは自分でできるように工夫してあげることです。例えば、上着の上から下着を着ようとするなど、服の着方や順序が分からない場合は着る 順番に1枚ずつ重ねておいたり、ひとつずつ渡していったりすれば、興味をもって着替えてくれるようになります。
ファスナーからマジックテープへ
高齢者の場合には手足の麻痺や障害がなくても服の着脱は難しいものです。ですから「こんな簡単なことができないの?」「さっさと着替えて!」などと、健常者のレベルを押し付けるのは禁物です。
手先の細かい動きが難しくなるので、着脱に手間取るような場合には小さなボタンは大きめなものに、ファスナーやホックは、マジックテープに換えたりするとよいでしょう。ボタンのないセーターやトレーナー、ゴムのズボンを選ぶのもベター。
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