
前回は、身体を外側から温めて冷えをブロックする方法を提案しました。今回は、身体の内側から温める方法を考えましょう。身体の内側からの冷え対策は、食事と運動です。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄/文:星野美穂>
食べ物から作り出される「熱」
私たちの身体を温めている「熱」は、食べ物から作り出されています。体温を保ち、活動するのに必要なエネルギーを生み出す基本的な栄養素は、「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」です。
「炭水化物」は主食であるごはんやパン、麺類などに多く含まれます。
「たんぱく質」は肉や魚、卵や大豆製品などに含まれています。
「脂質」は、調理のための油や、バター、マーガリンなどに含まれています。
これらをバランスよく摂ることが大切です。
また、食品には身体を温めるものと冷やすものがあると言われています。主に、冬にとれる根菜類や北国でとれる食品は身体を温め、夏にとれる野菜や南国のトロピカルフルーツなどは、身体を冷やすと言われています。
●身体を温める食品と冷やす食品
身体を温める食品 |
身体を冷やす食品 |
野菜・根菜類 |
カボチャ、かぶ、ごぼう、たまねぎ、ピーマンなど |
野菜・果物 |
トマト、きゅうり、ナス、セロリ、レタス、柿、梨、マンゴー、スイカなど |
香味 |
生姜、ねぎ、にんにく、しそ、こしょう、山椒など |
穀物 |
そば、小麦 |
果物 |
栗、もも、ライチ、ナツメ、くるみ、ザクロ |
調味料 |
白糖、醤油、はちみつ、牛乳など |
穀物 |
餅米、玄米 |
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公益財団法人長寿科学振興財団「長寿ネット」より
寒い季節は、身体を温める食品を取り入れるのももちろんですが、身体を冷やすといわれる食品も、調理次第で身体を温めるものになります。煮物や鍋物、あんかけにする、身体を温める生姜などの香味を加えるなど工夫してみましょう。寒い時は、やはり温かい食事を摂ることが一番です。
「介護食・レシピ」のページなども参考に、温かい食事で身体を内側から温めましょう。
運動も冷え解消の一手
また、冷えは、筋肉量の減少や、手足などの身体の末端へ血液が正常に循環しない「末梢循環不全」によっても起こります。身体の熱の多くは、筋肉の活動によって生み出されます。ですから、筋肉量が少なくなると、熱を生み出す力が低下するのです。
また、筋肉は血液を運ぶポンプの役割も担っています。手足の筋肉が収縮すると血管は圧迫され、筋肉がゆるむと血管が解放され血液が流れます。このように、筋肉が収縮と弛緩を繰り返しポンプの役目をすることで、末梢の血液循環を助けているのです。ですので、筋肉量が減少するということは、末梢の血液循環にも影響するのです。
反対に、筋肉量をアップさせることは、冷え解消の一手となります。椅子に座っての足踏み、椅子の背などにつかまってかかとを上げ下げするなど、室内でできる運動で十分です。朝の連続ドラマを見ながら、三時のお茶のあと、お風呂の前に、など毎日の習慣として軽い筋力アップの運動を取り入れましょう。
運動して手足までポカポカになると、そのあとの家事なども楽になります。
筋力アップのための体操は、介護マガジンでも紹介しています。
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