
1月末から2月初旬が一年で一番寒いといわれます。2014年は雪も多く、例年よりもいっそう寒さがこたえる冬ですね。
高齢になると「冷え」を訴える人が多く「冷え」は不眠や頭痛、肩こり、関節痛などを引き起こすだけではなく、免疫も落とすといわれています。また寒いと動くのがおっくうになり、できるだけ動かない生活を送っているうちに、「動けなく」なってしまうことも多々あります。
冷えの対処は、まず寒さをブロックすることが大切です。春まであと少し。生活環境や生活習慣をもう一度見直して、寒い時期を乗り切りましょう。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄/文:星野美穂>
冷えを断ち切るには、生活の場の見直しから
高齢者が冷えや寒さを訴える場合、まずは生活の場を見直してみましょう。
立っていると適温でも、足元が寒いことがあります。座っている高齢者は足から冷えが来ることが多いもの。足元の温度も測ってみましょう。温度が低い場合は、足元を温めるヒーターを置くなどの工夫をするといいでしょう。
ベッド周りの温度も確認してみましょう。ベッドが壁際に置かれていると、冷えが壁を伝ってくることがあります。また、窓際に置かれたベッドでは、温度に昼夜差があることも。夜間にベッドの周りや内側がどのくらいの温度になっているか、確認することが大事です。夜間、ベッドの温度が下がっている場合は、ベッドの位置を変えるなどの対処をしましょう。
また、冬場は湯たんぽや電気毛布を使っている人も多いと思います。足に汗をかきやすい人だと、かいた汗が冷えて身体を冷やすことがあります。高齢者では低温やけどの心配もあるので、設定温度には注意しましょう。
下半身に一枚多くが基本
また、寒いとついつい何枚も重ね着してしまいがちですが、あまり着込むと動きにくくなり、汗をかいた場合も着替えがおっくうになってしまいます。血液循環を妨げないよう締め付けない衣服を選び、上半身よりも冷えやすい下半身に一枚多く重ねる、が冷え対策の基本です。
ただし、下着に毛糸のパンツ、タイツに腹巻……と何枚も重ねているとトイレのときに不便です。ズボンの上から巻きスカートを重ねたり、レッグウォーマーなど着脱しやすくて暖かいものを活用しましょう。
首、手首、足首を暖かくすると保温効果が高まります。首にスカーフやマフラーをまく、足首まで覆う厚手の靴下を履く、などが効果的です。
ぬるめのお湯にゆったり浸かる
ゆっくりとお風呂に入るのも、冷えを遠ざけるのに効果的です。ただし、熱いお湯は心臓に負担をかけるのでNG。熱いお湯は身体の表面だけしか温めませんが、38~40℃くらいのぬるめのお湯にゆっくりと浸ると、末梢の血管が広がり、身体が芯から温まります。
お風呂に入れない場合は、足湯だけでも効果的です。冷えないように足以外を暖かい服装にして行うと、上半身までポカポカしてきます。最近では、水を通さない袋にお湯を入れて使う「足浴ブーツ」など、足を濡らさずに足湯できるグッズもあり、便利です。
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