
前回述べたように、血圧とは血管にかかる血液の圧力のことです。運動の後や、緊張している場合は血圧が上がります。リラックスしてゆったりとした気分のとき、血圧は下がります。血圧は絶えず変動しているものなのです。
ですからまず大切なのは、普段の血圧を知ること。最近では、家庭での血圧測定も推奨されています。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄/文:星野美穂>
正しい血圧は、何度も測って確認する
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインでは、「収縮期血圧(最高血圧)140mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)で90mmHg以上」の場合、高血圧と診断されると書かれています。
ただし、血圧は絶えず変動しているものです。一回だけの測定で判断できるものではありません。特に高齢者の血圧は、変動の幅が大きいため、日を変えて繰り返し血圧を測定し、常に血圧が高いということを確認する必要があります。
ご存知ですか?「白衣高血圧」
ただ、病院や診療所で血圧を測ると緊張してしまい、本来の血圧よりも高い数値が出てしまう人もいます。
「白衣高血圧」という言葉を聞いたことがありますか?これは、普段の血圧は正常なのに、診察室で血圧を測ると、緊張などから血圧が高く出てしまう現象を指します。「白衣高血圧」の人は、自宅などでリラックスしているときに測るほうが、正しい血圧が測れると考えられます。
自宅で普段の血圧を確認
そのため、最近では家庭での血圧測定が注目されています。
さまざまな種類の家庭血圧計が販売されており、指先や手首で手軽に測ることができるタイプのものもありますが、正確性に欠けるという欠点があります。
血圧を測るときは、心臓と同じ高さの上腕で測ると安定した値が得られます。ですから、新しく家庭血圧計を購入する場合は、上腕で測るタイプの血圧計をお勧めします。
正しい血圧の測り方
●朝と夜、それぞれ少なくとも1回は測る。
●できるだけいつも同じ時刻に測る。
●服はまくりあげて、裸の二の腕にカフ(腕帯)を巻く。
●カフは肘関節にかからないように巻く。
●腕は机などに乗せ、心臓と二の腕が同じ高さになるようにする。必要があれば枕などで腕を支え、腕は前に伸ばして、二の腕の緊張を解く。
●測るときは利き腕と反対の腕で測る。
(参考:厚生労働省「高血圧ホームページ」)
血圧測定前には深呼吸でリラックス
深呼吸をすると、血圧が普段のものに近づくといわれています。深呼吸により緊張が解けてリラックスできるからです。医療機関で血圧を測る場合も、家で測る場合も、測定前に深呼吸することを心掛けましょう。
また、家で測定した結果は、主治医に伝えましょう。普段の血圧を主治医が知ることにより、より適切な治療を行うことができます。
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