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認知症のBPSD(行動・心理症状)、接し方のコツ~高齢者の認知症6

2017年11月10日

認知症を持つ方に見られる「BPSD(行動・心理症状)」は、以前は病気そのものの症状である「中核症状」に対して「周辺症状」と呼ばれていました。
中核症状よりも、ご本人とご家族を悩ませることが多いBPSDは、認知症を持つ方の約8割に出現するといわれています。
BPSDの治療は薬よりも、認知症という脳の病気への理解を踏まえて、人としてどのように向き合うか、つまり「接し方」に重きが置かれます。
定石どおりにいくことばかりではなく、どこのご家族も、プロの介護職も医療職でも、試行錯誤や失敗を重ねるものだと思います。
1日でも多く、良い日、穏やかな日を過ごせるような知恵やコツをお伝えします。

 

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<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:椎崎亮子>

 

認知症の症状は、BPSD・中核症状・身体の健康が関係する

1脳の病気である認知症になると、本来その人が持っているべき記憶力、判断力、空間認識能力などの認知機能が損なわれます。これを「中核症状」といいます。
BPSDとは、それゆえに正常な行動ができなくなったり、不安がつのり、心おだやかでなくなったりするものです。
また不眠や便秘その他、認知症以外の身体の健康状態に関係して、精神的な症状が出る場合もあります。

 

中核症状が進行するにつれて、また、身体の状況が変わることによっても、BPSDの出かたは変わってきます。
誰に、どんな症状が出るかはわからないのですが、ひとつだけ言えることは、「症状はずっと同じように続くものではない」ということです。

 

普段と違う様子があれば、まず体調をチェック

特に、ご本人の機嫌が悪くなる、怒る、暴力的になる、逆に無気力になるなどの変化が急に出たときは、まずは「体の不調がないか」に注目してみてください。
人間だれしも、体調が悪いときには不機嫌になったり、気力がなくなったりします。特に、便秘や消化不良、発熱、血圧や血糖値の変化などは、ご本人が訴えられずにいることもあります。

 

介護施設やデイサービスでは、何かちょっとでも変わったことがあれば、朝晩などに必ず血圧や体温を測定します。
それは、「普段と変わったことがあったら、体調に変化がある印かもしれない」と考えるからです。

 

認知症にかかった方の持つ「不安」とは?

よく、「認知症の方に病識がない(病気だという自覚がない)」と書かれているのを目にします。
確かに病識のない方もいます。けれども、認知症を持つ方の多くは、自分が「以前と違って、できないことがある」「物忘れをしているようだ」「わからないことが増えた」といった自覚を持っていることがあります。
ただし言葉では表現できないかもしれません。

 

電車に乗っていて居眠りをしてしまい、ハッと目覚めたら全く知らない場所だった、という体験はありませんか? その感覚が、認知症になった方の感覚に近いといわれます。
一瞬、自分が今どこにいて、どこへ行こうとしているのか、今何時なのかなどが分からなくなり、不安に襲われるあの感覚です。

 

正常に働く認知機能があれば、次の瞬間にはすべてを思い出し、次の駅で降りるなど適切な対処を取ることができます。
しかし認知症のある方は適切な対処ができません。そして不安もずっと続いているのです。

 

最近では、認知症のある方が、どのように身の回りの環境を感じているものなのかを表現した、ドラマ仕立ての動画があり、ネット上でも探すことができます。
また、認知症にかかった方が感じる世界を体験できるVR(ヴァーチャル・リアリティ)を発表している会社もあります。
どれも、「認知機能が働かないことによって大きな不安を持つ」ことを、広く社会に伝えることに主眼が置かれています。

 

BPSDとして現れる「徘徊」(はいかい)や「介護拒否」「暴言」「暴力」などの背景には、強い不安感やそこから来る焦燥感、恐怖心や悲しみ、不満、不快感などの感情があると考えてよいと思います。

 

BPSDには必ず本人なりの「理由」がある

「徘徊」はあてどなくさまよい歩くことですが、ご本人にとっては「家(今の自宅とは限らない)へ帰る」「仕事に行く」「子どもを迎えに」「散歩」などの理由があっての行動です。
食べ物でないものを口にしてしまう「異食」は、ボタンが飴玉に見えていたり、液体ノリを小瓶入りのジュースだと思い込んだり、使用済みのティッシュを綿菓子だと考えたりするからです。

 

前頭側頭型認知症の方に見られる「盗み」は、他人の物であり盗みになるという認識がなく、我慢や遠慮をすることもできなくなっているため、「あ、欲しいな」「おいしそうだな」と思った瞬間に、気持ちのままに手を出してしまっているのです。

 

「弄便」(ろうべん)は、排便の感覚が鈍った方に見られます。
失禁した便を不快感から取り除こうとしたり、手についた汚れを始末しようとしたりしているだけなのですが、適切にできずに周囲を汚してしまうのです。決して「便で遊んでいる」わけではありません。

 

デイサービスなどで介護職が「お風呂に入りましょう」と誘ってもかたくなに拒否するのは、「なぜ他人が一緒にお風呂に入るのか」「昼間なのに」「家で入りたい」など、本人にとって理解できない状況や確固たる理由があるからです。

 

困っているのは、誰よりも認知症を持つ本人

2ご本人の行動の理由と、周囲の解釈が180度違うことによっておこる食い違いが、ご本人をいっそう混乱させます。
「違う違う!」と、周囲の人が行動を叱ったりすると、ご本人は納得いかず、怒り出したりパニックを起こしたりすることもあります。

 

BPSDが現れると、家族は心底嫌になり、消耗してしまうこともあるかもしれません。できれば早くその場を収めたいと願うこともあるでしょう。
でも、BPSDが出ているとき、もっとも困っているのは、誰よりも当のご本人なのです。ご家族もつらいでしょうが、ご本人が一番困り果て、疲れ切って、助けを求めているのだということを、知ってあげてほしいと思います。

 

BPSDへの「間違った対処」とは?

BPSDが現れている方への接し方は、ケースバイケースであって、正解がない、ともよく言われます。
ただし、「しない方がよい」ことははっきりしています。

 

・行動を止めようと、頭ごなしに叱ること
・本人と介護者の感情のぶつけ合いになってしまうこと
・本人が嫌がっていることを、無理強いすること
・急がせること、早口や大声で何かを伝えること

 

これらは、ご本人の態度をもっとかたくなにする可能性のほうが高いかもしれません。
無理強いしたり、叱ったりすると、ご本人はなぜそうされるのかを理解できず、「嫌なことを言われた・された」という感情を持ってしまいます。
すると次回からも、同じ場面でかたくなな拒否や暴言・暴力につながってしまうことがあるのです。

 

本人が「何に困っているのか」をみつける

前述したように、BPSDには必ず理由があります。そばにいる人には、その理由が見えやすいと思います。
「あ、困ったことをしてるな」と思ったら、大声で制止する前に、できるだけ静かにそばに行き、穏やかに「どうしたの?」と聞いてみると、説明してくれることもあります。
ご本人がしたいこと、困っていることが見つかったら、手伝いますよ、助けますよ、ということを伝えると落ち着くこともあるのです。

 

認知症を持つ方への声かけのコツ

できれば、低めの、ゆっくりした口調の温かい声を意識してみてください。ご本人の視界の中に入り、目線を合わせて、言葉をかけるのがコツです。

 

子どもに話すような言い方ではなく、日本語が少ししかわからない外国人に説明するつもりで、丁寧に話すとよいかもしれません。短い文、簡単な単語を使います。
「認知症だから言ってもわからない」と思うかもしれません。ですがかなり進行した認知症を持つ方でも、「理解できる瞬間」が必ずあるのです。

 

うまくいかないときは、距離や時間を置いてみる

BPSDが出ているときの不安感や心のざわつきを、できるだけ穏やかに、安心する方向へなんとか導くことができればよいのですが、どう説明しても、どう声掛けしても無理なときもあります。
ご本人の気持ちがかたくなな場合や、話をしているうちにご本人の感情が高ぶってくるような場合です。

 

そんなときは、「その場を離れる」「距離や時間を置く」ことが効果的な場合があります。良い意味での双方のクールダウンです。
徘徊などの場合、ご本人の安全を確保しながら、距離を置いて見守ります。また、お茶をいれて「一緒に飲みましょう」などと、まったく違うアプローチをしてみてもよいかもしれません。

 

介護施設などでは、職員が交代する(人を代える)こともよく行われます。介護する人が冷静になる、心穏やかにいることで、ご本人に穏やかに接することができるからです。

 

BPSDを起こさないような環境をつくる

3これも介護施設などの方法ですが、たとえば弄便をしてしまう方には「失禁させない」工夫をします。定期的にトイレに誘導することがそれにあたります。

 

食べ物ではないものを口に入れることを防ぐために、ご本人の手の届くところに、誤解するような品物を置かないよう気を付けます。
夕方になると不安になり、「帰る」と歩き出される方には、その時刻に必ず、お気に入りの番組を録画したDVDを見ていただいたり、食事の支度の手伝いなど、集中できる作業をしていただいたりします。
「お風呂」というと嫌がる方には、「着ているものを洗濯するので洗濯場へ来てください」などと誘導することもあります。

 

これらは、その人なりの理由や理屈を分析したうえで行う、「BPSDを起こさないための環境整備」です。これが上手くいくと、認知症の方への対処はグッと楽になります。

 

「介護は抱え込まない」周囲に積極的に相談してみる

家族がひとりで介護している場合は、以上のようなことがなかなかできず、心身に負担がかかることも多いものです。

 

「こんなことがあって、とても対処に困った」「もう疲れてしまった、どうしよう」
そんなときこそ「ひとりで抱え込まない!」という介護の大原則を思い出しましょう。

 

ケアマネジャーやヘルパー、訪問看護師などが、接し方のコツを教えてくれたり、よい知恵を出してくれるかもしれません。かかりつけ医も、よい方法を考えてくれるはずです。
介護する家族が本当に疲れ切ったときには、ショートステイなどのサービスも利用してよいのです。

 

小さなことでも、こまめに声に出す習慣を持っておくとよいと思います。
介護は、たくさんの人を巻き込むもの。迷惑をかけてもいいですし、恥ずかしいと思わなくてもいいのです。

 

次回は、認知症の中核症状とBPSDに使われる薬に関してお伝えします。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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