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認知症に関心を持ってもらうには「認知症にやさしい地域をつくる」3

2017年2月3日

家族などの身近な人が認知症になり、誰かに相談したいのに、どうも周囲の人たちは認知症をはじめとする高齢者の問題に全く関心がないようで、話題に出すのも気が引けてしまう……。当事者やその家族とならない限り問題意識や関心を持ちにくいのは、すべての病気に共通していることかもしれません。
認知症の問題は、これからの超高齢化社会では誰もが避けて通れないことです。認知症の当事者やその家族となった人が、周囲の人たちにどのように理解を求めていけばよいのか。そして、「認知症の人でも暮らしやすい地域」をつくるにはどのようなつながりをつくればよいのかを探っていきます。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:椎崎亮子>

 

 

【質問 友人知人や近所の人に「親が認知症になりました」と言ってよい? ~78歳・要介護1】

郷里で一人暮らしをする親が認知症に。親の知人などにそのことを話してよいものか悩んでいます。
(相談者:息子)

 

先日、郷里にひとりで住む母が、軽度の認知症との診断を受けました。見守りを兼ねて、今は週2回ほどヘルパーさんに来てもらっています。私は就職してからずっと親元を離れ…(続きはこちら)

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  *前回(2回目)1回目はこちら

世間に関心を持ってもらえないという不安

1前回は、認知症にかかった人を住み慣れた地域から引き離すのではなく、地域の中でずっと普段通りの暮らしを続けられることが、何よりも、その人自身のさまざまな能力を落とさないための訓練(機能訓練)として有効ではないか、と述べました。
ですが現状は、認知症のある人をはじめとする高齢者は、地域社会から切り離されてしまっています。その原因は社会全体にある「認知症になったら普段通りの生活はできない」という偏見にあるという意見もご紹介しました。

 

ここでご相談者のお話に戻りましょう。
第1回目で、ご相談者が周囲の人に、お母さまの認知症について話すのをためらわれる理由に、日本に根強くある恥の文化の影響がありそうだという話をしました。もう一つ、もっと強くご相談者が感じているであろう不安が「周りが関心を持ってくれないのではないか」ということではないでしょうか。

 

勇気を出して誰かに話をしてみたら「お気の毒に」という反応を返されてそれで終わり。あるいは、興味がなさそうなリアクションが返ってくる。ご相談者は、もしかしたらそのような経験をすでにされているのかもしれませんね。

 

医療者でも突き当たる「無関心の壁」

私自身も、「世間の認知症への関心は本当に薄いな」とがっかりしたことが何度かあります。以前に地域のイベントで、認知症について関心を深めてもらおうと、ブースを出してみたのですが、誰も足を止めてくれなかったことがあります。呼びかけをしてみても「私には関係ないから」という反応が返ってきてしまいました。

 

この無関心さでは、認知症の人が地域で安心して暮らすどころの話ではありません。

 

以前、「認知症の人が受診を拒むとき」の記事の中で、認知症初期集中支援チームについてご紹介しました。(→“認知症初期集中支援チーム”に相談を
認知症の治療にあたる医師や看護師などの医療職と介護職がチームを組み、認知症があり(あるいはあると考えられ)かつ、医療や福祉のサービスを受けられていなかったり不十分である人とその家族を、地域で自立して生活しやすいように支援しようというシステムです。

 

この認知症初期集中支援チームの活動でも、地域の中で無関心、無理解の壁にあたることがあります。

 

たとえば、認知症があるために自宅のごみ出しができなくなり、ごみ屋敷(※)のようになって近隣に迷惑をかけている高齢者がいるとします。もし、以前から交流のある近隣の人たちが、その人の認知症に気づき、病気のことを理解して対応ができれば、ごみ屋敷にならずに済んでいたかもしれません。

 

ですが実情としては、認知症という病気がどのようなものかを知らないために、なぜごみをため込むのか理解できず、「あの人は昔はあんな風ではなかった」となります。迷惑が増大しつづけて近隣の人たちの不安は限界を超え、誰も近寄りたがらなくなってしまうことがほとんどです。

 

こうなると、初期集中支援チームが介入して問題を解決し、その人が元通り生活できるようにしたいと思っても、地域の人がとても受け入れてくれない、ということになります。

 

※いわゆる「ごみ屋敷」問題は、すべてが認知症に起因するとは限りません。別の精神疾患などが原因になっている場合もあります。

 

他人の介入を拒む認知症の人たち

2一方で、認知症のある人も、他人の介入を受け入れたがらないことがよくあります。ご家族でさえも、認知症の検査のために病院へ連れて行こうとすると「病気でもないのになぜ病院などへ行くんだ」と怒らせてしまう、というような経験をします。

 

ごみをため込む高齢者に隣近所の人が「ごみをちゃんと捨ててください」と言いに行こうものなら「これは大事な財産だ、お前たちはそれを盗みに来たんだろう」などと怒鳴り散らして追い払われてしまう。あるいは、町会の役員や地域の民生委員などが、一人暮らしだからと心配して訪問すると、「私は大丈夫ですから、もう来ないでください」とドアを閉められる。こんなことが起きます。

 

認知症という病気にかかり、できないことやわからないことが増えてくると、ご本人自身は認知症であることが理解できない(病識がない、という言い方をします)ために、とても不安に感じるのです。その不安を押し隠すために、理由をつけて取り繕おうとする行動や、他人に対して疑心暗鬼をぶつけるような行動が目立ちます。
これがいわゆる、認知症の周辺症状(BPSD)のもとになっているものです。さらに、BPSDが高じて被害妄想(物盗られ妄想などの呼び名があります)になっている人もあります。その場合はコミュニケーションは非常に困難です。

 

認知症の人が地域で暮らしにくくなっている理由は、このように互いに理解し合えない状況ができてしまうからなのです。

 

認知症の人と信頼関係をつくる

認知症初期集中支援チームなどの専門家は、認知症の高齢者とコンタクトをとるときには、いきなりこちらの要件(病院へ行くとか、検査を受けさせるとか、ごみを捨ててもらうとか)の話はしません。まずは、「この人たちは悪い人ではないな」と思ってもらえるようなお付き合いをつくるところから始めます。折に触れ世間話をしたり、困っていることはないかをこまめにたずねたりします。
「ああ、この人は自分を心配して来てくれているんだ」と思ってもらえたら、ようやくその先へ進めるのです。病院へ行く、ごみを捨てるなどの本来の目的に到達するには、時には数ヶ月かかることもあります。

 

ずいぶん回りくどいと思われるかもしれませんが、「急がば回れ」。認知症という病気を理解したうえで、その人の尊厳を守りながら支援していくには、膨大な時間やエネルギーが必要になることもあるのです。

 

認知症を理解する人を増やす「認知症サポーター」制度

3増え続ける認知症の人たちを、医療職や介護職だけで支援していくのは、とても難しいことです。そこで、国を挙げて対策を考える中で2005年から始まったのが「認知症サポーター」制度です。

 

厚生労働省が音頭を取り、各地の自治体や企業と協働で「認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする」人である「認知症サポーター」を養成する講座を開催しています。
2016年12月末現在で、日本全国で認知症サポーター養成講座を受けた人は、849万7000人あまりにのぼります。養成講座といっても、講義の時間は1時間半~2時間程度。どこでも費用は無料です。小学生から高齢者まで、誰でもが受けられるものです。

 

厚労省は、認知症サポーターに以下のようなことを期待しています。

 

1 認知症に対して正しく理解し、偏見をもたない。
2 認知症の人や家族に対して温かい目で見守る。
3 近隣の認知症の人や家族に対して、自分なりにできる簡単なことから実践する。
4 地域でできることを探し、相互扶助・協力・連携、ネットワークをつくる。
5 まちづくりを担う地域のリーダーとして活躍する。

 

そうなのです。本当の目的は、日本中の人に認知症の人への理解を深めてもらい、認知症になっても暮らしやすい地域社会をつくっていくことなのです。

 

無関心な人はまだまだ多い。でも、関心を持ち、自分のこと、自分の住む地域のこととして考える人が増えてきているのも事実です。ご相談者が住む地域(都市部)でも、お母さまの住む地域(地方)でも、きっと認知症サポーター養成講座は開かれているはずです。もしかしたら、身近な人たちも、すでに講座を受けているかもしれません。

 

次回は、もう一歩踏み込んで、認知症への理解を地域に求めていくにはどのような方法があるかを、お伝えしたいと思います。

 

●「認知症にやさしい地域をつくる」の記事をすべて見る
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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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