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普段通りの暮らしこそ最高の機能訓練~「認知症にやさしい地域をつくる」2

2017年1月27日

認知症によってさまざまな機能が衰えることを防止する「機能訓練」は、病気そのものの症状(=中核症状)の進行を抑えることが期待されます。一方で、認知症では往々にして、周辺症状(BPSD)と呼ばれるさまざまな行動の問題が、ご本人と介護者を苦しめることがあります。
周辺症状をコントロールするには、向精神薬や睡眠薬などを使うよりも、ご本人が落ち着いて生活できるように環境を整えることが重要と言われています。この点から「機能訓練」を考えたとき、「住み慣れた地域で普段通りに暮らす」ことこそが、最高の機能訓練なのではないか、という観点が出てきます。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:椎崎亮子>

 

 

【質問 友人知人や近所の人に「親が認知症になりました」と言ってよい? ~78歳・要介護1】

郷里で一人暮らしをする親が認知症に。親の知人などにそのことを話してよいものか悩んでいます。
(相談者:息子)

 

先日、郷里にひとりで住む母が、軽度の認知症との診断を受けました。見守りを兼ねて、今は週2回ほどヘルパーさんに来てもらっています。私は就職してからずっと親元を離れ…(続きはこちら)

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  *前回(1回目)はこちら

山梨県は健康寿命が日本一

1日本人の平均寿命はどんどん延び続けています。2015年現在、女性が87.05歳、男性は80.79歳です。
これとは別に、心身の病気がない「健康寿命」というものがあります。平成2010年の数字ですが、平均寿命が女性で86.30歳のときに健康寿命は73.62歳、男性では平均寿命79.55歳に対して健康寿命が70.42歳でした。
平均寿命と健康寿命の間には、女性で12.68歳、男性で9.13歳の差があります(厚生労働省調べ)。つまり、日本人は平均的に、最晩年の10年近くを、心身の病気や不自由ともに過ごしているのが実情なのです。

 

私が住む山梨県は、実は日本で一番健康寿命が長い県(2015年度)です。つまり、高齢者がとても元気な地域と言えます。でもそれは、山梨県の福祉・介護サービスが他の都道府県より充実しているからではありません。

 

山梨県は全面積の約8割を森林が占め、山岳地帯も非常に多い県です。寒暖の差が大きくブドウやモモなどの栽培に適しているので、果樹農家が多い土地柄です。果樹農家の人たちは、高齢になっても山肌の斜面にある果樹園を上り下りする生活を続けています。体に負担がありそうに思いますが、果樹農家の人にとってはこれが「普段通りの暮らし」ということになります。このように生活の中で積極的に高齢者が体を動かし働くことが、健康寿命の長さにつながっているように私は思います。

 

地域から連れ出される高齢者たち

昔ながらの山村では、人と人のつながりにも伝統的なものがあります。私のクリニックにほど近い、とある山深い地区では、昔からお年寄り達が定期的に寄り合いをして、お茶を飲みながらおしゃべりをする習慣がありました。また、近所に具合の悪い人がいれば、互いに家を訪問して助け合ったり、冠婚葬祭では互いに手伝いに行ったりという交流がありました。
高齢者も地域の一員として孤立することなく生活を続けられる。それを地域全体でフォローし合うような関係があったのです。

 

ところが、介護保険制度が動き始めてから、このような地域の交流は廃れていってしまいました。お年寄りたちは、デイサービスの車に乗せられて地域から連れ出されました。施設でさまざまな機能訓練を受けられるようになりましたが、地域はからっぽになっていってしまいました。
これではいけないと、社会福祉協議会が公民館を使って月に1回、「ふれあいサロン」などの名前を付けた会を開きました。ですが、それはどうしても、もとあった交流とは質の違うものだったのです。

 

2認知症の周辺症状で、いわゆる徘徊(はいかい=本人は何らかの目的をもっているつもりだが、周囲の人からは、さまよい歩いているように見える状態)や、帰宅願望(住居にいても帰りたい、帰りたいとしきりに訴え、落ち着かなくなる状態)は、ご本人もご家族などの介護者もとてもつらいものです。

 

高齢の方の多くは、住み慣れた環境が変わることを好みません。単に長く暮らしていたからというだけではないのです。地域の中での人のつながり、社会的なつながりが長い年月にわたって築かれ、それが有形無形の心のよりどころとなっているものなのです。

 

また、認知症という病気は、環境の変化が症状にさまざまな影響を及ぼすことがあります。記憶の障害や見当識の障害がおこりますので、新しい場所や新しい人間関係への順応が難しくなります。そのため引っ越しのような急激で大きな環境の変化で、精神的な安定を失う場合もよくあります。

 

それにもかかわらず、認知症を発症した人の多くは、それまでの暮らしを離れて施設に入所することになるなど、大きな環境の変化にさらされることになります。このように認知症の人を住み慣れた環境から切り離してしまうことが、周辺症状を強くしている原因のひとつなのではないかと言われ始めています。

 

世間の偏見が、認知症の症状を重くするのではないか

首都大学東京健康福祉学部教授の繁田雅弘氏は、「認知症になったら、本人は何も分からなくなる」という世間一般の先入観や偏見が、認知症の症状を重くしている可能性があると指摘しています(*)。

 

本当はまだ自力で生活できるのに、家族や医療者までが「もう施設に入った方がよい」という偏見を認知症のご本人に向けることで、ご本人自身が「自分はもうダメだ」とあきらめる。そのあきらめが、普通に生活していこうとする意欲をそぎ、結果的に脳を「廃用性症候群(ある機能を使わないでいると、衰えて使えなくなってしまうこと)」に陥らせる。そして認知症にかかった人が地域で生活できない状況を作り出しているのではないか。そのような偏見は排除していくべきだ。このようなことを繁田氏は語っています。私はその意見にとても共感しています。

 

昔ながらの生活を見直すことの可能性

3私自身も、地域にお年寄りを残すこと、今まで通りの暮らしを本人の望む限り続けてもらえるように支援することが、認知症という病気と向き合う上でよりよい結果につながるのではないかと考えているのです。

 

たとえば、地域からお年寄りを連れ出してデイサービスを受けさせるのではなく、地域の中に昔からあった寄り合いのようなものを、もっと活用する、取り入れる。公民館などに人を集めるのではなく、それぞれの家を行き来できるような、自由度の高い活動を考えてみてはどうかと思うのです。普段通りに生活し、働くことこそが、ご本人の意にもかない、何よりの機能訓練となるのではないかと考えるからです。

 

地域に、このように認知症のお年寄りの居場所を取り戻すためには、認知症という病気への理解と、地域ぐるみの受け入れが必要です。
それこそ、偏見を排除していかなければなりません。もちろんそれは、簡単なことではないかもしれません。高齢者問題や認知症に関して、まだまだ無関心な人も多いからです。

 

*認知症に対する先入観・偏見-本当の気持ちを聞けていますか(Medical Note 2016年3月30日)

 

次回は、どのようにして、「認知症を受け入れる地域にしていけばよいのか」ということを考えたいと思います。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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