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家族ができる、せん妄の予防・対処法・心構え「せん妄はなぜ起きる?」5

2016年12月9日

身体や精神の疾患、認知症などの脳機能の低下を持つ高齢の方では、せん妄は誰にでも起こる、珍しくない症状です。しかし、ご本人の様子が豹変するため、ご家族にとっては大きなショックです。高齢者がせん妄を起こした時に、ご家族などの介護者が覚えておくとよい対処法や、せん妄をどのように捉えればよいかについて考えていきます。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:椎崎亮子>

 

 

【質問 施設に宿泊した母が、夜は錯乱状態に ~83歳・要介護2】

母は、施設に宿泊したときにかぎって、「幽霊がいる」などと騒ぐそうです。これは認知症の症状なのでしょうか?
(相談者:娘)

 

母は半年ほど前に認知症と診断されました。家族とともに住み慣れた家で暮らしていますが、私を含め家族全員が仕事を持っているため、ひとりになる時間も長く心配でした。そこで、近くの小規模多機能型居宅介護の施設で、通所・訪問サービスを利用し、私と夫の出張が重なるときなどに宿泊の利用も始めました。ところが、施設で宿泊した翌日…(続きはこちら)

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  *前回(4回目)3回目2回目1回目はこちら

せん妄に偏見を持たないでほしい

1相談者のお母さまのように、今まで特に大きな精神的な問題のなかった人に、せん妄の症状が現れると、ご家族などの介護者は非常に驚きます。幻覚などが現れる症状を、恥ずかしい、人には言えないと思うご家族も少なくないようです。

 

何度か述べてきたように、基本的に「せん妄は、一時的な症状であり、適切な治療や対処で元の状態に戻るもの」です。まずはこのことを忘れないでください。
また、認知症が恥ずかしいものではないのと同じく、せん妄もまた、まったく恥ずかしいものではありません。

 

せん妄が回復するには、その原因によって数日から数週間かかる場合もあります。でも、「こんなことになってしまって」と過剰に悲観したりせず、できるだけ落ち着いて、回復を待ってあげてほしいと思います。

 

施設等を利用していたり、訪問介護・看護を受けている場合は、ご本人にかかわっているすべての医療・介護職の方と情報を共有し、対応を統一するようにしてください。

 

周囲の人が偏見を持たず、落ち着いて対応することで、ご本人も安心できます。安心できることがせん妄の症状を抑えるためにより有効なのです。

 

せん妄を予防するために心がけること

2回目の記事の中で、せん妄の治療の際は、心身をできるだけ快適に保つことが大切であることをお伝えしました。
せん妄を引き起こしにくくするためにも、バランスの良い栄養や適切な水分の摂取、十分な睡眠・休息、一日を規則正しいリズムで生活することなどは最も重要です。

 

次に、ご本人を取り巻く環境を調整していきます。特に、ショートステイや施設入所等で環境が変わる場合には配慮してみましょう。
できるだけ自宅で、家族と一緒にいるのがご本人にとっては一番でしょうが、どうしてもそれができないこともあります。次善の策として、次のことを心がけましょう。

 

・音や光、温度など、感覚の刺激となるものを和らげる
居室やベッド回りが休息に適した環境かどうかを見てみましょう。隣室のテレビの音、共有スペースの明かりなどが気にならないかどうか。また室温をこまめに管理できるとより良いでしょう。

 

・夜間は、豆電球などを必要に応じて使用する
就寝中は真っ暗なほうが睡眠にはよいと言います。しかしふと目を覚ました時に、あまりに真っ暗だと方向感覚がなくなり、恐怖感を感じることもあります。顔を直接照らさない位置に豆電球程度の明かりを配置するとよいでしょう。

 

・なじみ深いものを周りに置き、安心感を高める
2自室にあるお気に入りのものや写真、カーテン、枕や寝具など、施設に持ち込みが可能なものがあれば持っていくとよいでしょう。「目に入る」だけではなく、ご本人の手触り・肌触りでなじんでいるもの(クッションやぬいぐるみなど)、なじみの香りのもの(化粧品など)もよいと思います。

 

・眼鏡や補聴器など、感覚器官を補う器具を適切に使う
見えない、聞こえない状況は、幻覚などを助長することがあります。就寝時は眼鏡や補聴器を外しますので、起床したらできるだけすぐそれらを身に着けるようにします。認知症などが進行すると、眼鏡や補聴器の調整が難しくなりますので、できるだけ可能なときに調整しておくとよいと思います。

 

・日付や時間、場所などがわかりやすいようにする
時計やカレンダーなどは、目に入りやすいところに配置します。文字が大きく、一目でわかるデザインのものがよいでしょう。施設の名前を書いたものや、トイレの方向などを書いておくのも、混乱を収めるのに役立ちます。

 

幻覚や興奮などが現れたときの対処法

今回のご相談者のお母さまの場合は、幻覚を起こされたのが施設でした。介護職員は対応を心得ていますので、上手にお母さまを落ち着かせたことと想像します。ご自宅でせん妄がおこり、幻覚や、興奮(怒る、暴れるなど)が出た場合、ご家族は驚いて対応に困ってしまうかもしれません。

 

まずは、「意識障害を起こしている」ことを念頭に、転倒したり、ものにぶつかったりという危険がないように配慮します。立っている場合は、誘導して椅子やベッドに座らせる、横になってもらうなどするとよいでしょう。

 

いるはずがないのに「人がいる」などと訴える場合は、肯定も否定もしなくてよいので、適当に話を合わせつつ落ち着くのを待ちます。そばに人がいると余計に興奮するような場合は、安全を確保したうえで、あえて一人にするのもよいでしょう。誰かがそばにいたほうが落ち着くようなら見守ります。

 

対応に苦慮する場合は、かかりつけ医や訪問看護などに連絡して指示を仰ぐとよいと思います。

 

せん妄の間のことを、本人が覚えている場合もある

せん妄を起こしているときのことは、ご本人が全く覚えていない場合と、わずかながら覚えている場合があるようです。後から「あのときはなんだかおかしかった」「怖かった」などと訴える場合もあります。いつもと違ってしまっている自分自身に不安を覚えていると思いますので、訴えを傾聴(*)したうえで、大丈夫だと伝えて安心させてあげるとよいでしょう。

 

*傾聴=相手の話すことを否定せず受け止め、こちらの意見をさしはさまずに聴くことに徹し、訴えを理解しようと努めること。視線をしっかり合わせる、相手の言葉を繰り返すなどの基本的な技術がある。

 

がんの終末期など、特別な場合の選択肢

3せん妄はどんな高齢者に起きても珍しくないとお伝えしてきました。ですが、がんの終末期(お看取り期)などの特別な場合に起こるせん妄についても、少しだけ触れておきたいと思います。

 

私の患者さんのお話しです。がんがあり、終末期に入られている方でした。強い痛みがあるため、緩和のためにモルヒネも使っていました。コントロールが難しく、時折強いせん妄を起こされることがありました。

 

せん妄は、適切な治療や、原因の除去によって改善するものだとお伝えしてきましたが、終末期に起こるものでは、どうやっても原因を取り除けず、改善が望めない場合もあります。

 

このようなとき、ご本人やご家族の希望によっては、強い鎮静作用のある薬を使い、ほとんど眠り続ける状態になっていただくこともあります。いずれ、せん妄が起きる時期を通り越すと、その先には深い昏睡が訪れます。その時期を薬によって少し早めるわけです。そのほうがご本人もご家族も辛くないということであれば、それもひとつの選択肢なのです。

 

この方の場合は、ご家族が、鎮静はかけないという選択をされました。鎮静をかけて眠ったままになると、もうご家族とご本人がコミュニケーションをとることはできなくなります。たとえせん妄の状態であっても最期まで会話ができることをご家族は望まれました。
「豹変してもそれは病気のためであって、それもまた本人の一部です。とことん付き合います」とご家族は話されました。

 

せん妄は、「急に人が変わったようになる」ものなので、ご家族のショックは非常に大きいです。「とことん付き合う」などと受け入れるのは、かなり難しいことだと私は思います。
この事例を、持ち上げる意図はありません。ただ、「せん妄に対して偏見を持たない」「病気が引き起こすもの」という意味で、心に止めておいていただければな、と思います。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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