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高齢者の意識障害“せん妄”の症状と原因は?~「せん妄はなぜ起きる?」1

2016年11月11日

「高齢の方は、意識障害を起こすことが珍しくありません」と言うと、ちょっと不思議に思う方がほとんどでしょう。きっと、意識障害と聞くと、気を失って倒れるような状態を想像してしまうのではないでしょうか。今回からお伝えする「せん妄」。この症状は、気を失って倒れるわけではなく、目もちゃんと開いているうえに、誰かとしゃべることもできているのに「意識障害」の状態なのです。
高齢者は、どのような場合にこの「せん妄」を起こすのでしょうか。
<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:椎崎亮子>

 

 

【質問 施設に宿泊した母が、夜は錯乱状態に ~83歳・要介護2】

母は、施設に宿泊したときにかぎって、「幽霊がいる」などと騒ぐそうです。これは認知症の症状なのでしょうか?
(相談者:娘)

 

1母は半年ほど前に認知症と診断されました。家族とともに住み慣れた家で暮らしていますが、私を含め家族全員が仕事を持っているため、ひとりになる時間も長く心配でした。そこで、近くの小規模多機能型居宅介護の施設で、通所・訪問サービスを利用し、私と夫の出張が重なるときなどに宿泊の利用も始めました。

 

ところが、施設で宿泊した翌日、介護職員から「夜中にお部屋から出てきて『知らない人がこちらをにらんでいる、幽霊だ』と騒がれ、しばらく落ち着きませんでした」と報告を受けました。そのときには、悪い夢でも見ただけだろうと思っていましたが、後日また似たような出来事がありました。施設で宿泊することに何か問題があるのかと思い、母に聞いてみると「そんなことはない」とのこと。自宅ではそのような状態になったことはありません。また、これまでいわゆる妄想のような症状はありませんでした。母の認知症が急激に進行しているのではないかと心配です。

 

 

【上條先生の回答】

夜間に起きることの多い「せん妄」かもしれません

2認知症と診断されたお母さまが住み慣れたお家で暮らせるようにと、小規模多機能型居宅介護を選択されたのですね。せっかく使いやすい事業所が見つかったのに、宿泊時にお母さまのご様子が変わることがたびたびあるとなると、本当に心配ですね。

 

お母さまは自宅で暮らせる状態とのことで、認知症は軽度~中等度ぐらいではないかと思います。もし、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害、判断力の障害)の進行がそれほど見られないようであれば、お母さまは「せん妄」という状態を起こしている可能性が高いと思います。

 

「せん妄」は急性の意識障害

「せん妄」の「せん」は「譫」と書きます。「うわごと」という意味です。せん妄は医学的には、なんらかの理由で急性の意識障害を起こし、そのために注意力や認知機能の低下、錯乱、幻覚などのさまざまな精神的症状を示している状態を指します。
意識障害といっても、「意識を失っている状態」とは異なります。下記は意識障害の程度を判定する「3-3-9度方式(Japan Coma Scale)」と呼ばれる表です。意識障害をI-1~III-300までの3×3段階で示します。

 

●意識障害の程度を判定するJCS(3-3-9度方式)
<III 刺激をしても覚醒しない状態>
300 痛み刺激にまったく反応しない
200 痛み刺激に少し手足を動かしたり、顔をしかめる
100 痛み刺激に払いのけるような動作をする

 

<II 刺激をすると覚醒する状態>
30 痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する
20 大きな声または体をゆさぶることにより開眼する。開眼できないときには簡単な命令に応じる
10 普通の呼びかけで安易に開眼する

 

<I 刺激しないでも覚醒している状態>
3 自分の名前・生年月日が言えない
2 見当識障害がある
1 意識明瞭とはいえない

 

つまりせん妄は、I-1からI-3のような軽い意識障害が急におこり、そのうえで、なんらかの混乱や精神的な症状がみられている状態、ということができます。他人からは、きちんと目も開いて覚醒しているように見えます。会話もできますし、歩き回ったりもできます。ですが、何か普通の状態ではない感じがします。会話がまったくかみ合わなかったり、あるはずのないものや人が見える幻覚や幻視があったりします。また、ご本人は強い恐怖や不安を感じていることも多く、落ち着かない様子が見られます。

 

お酒に酔っぱらった状態と似ている

読者のみなさんの中には、お酒に酔って、人が変わったような言動をとってしまった、という経験をした人がいるかもしれません。アルコールで酩酊(酔っぱらうこと)した状態は、せん妄の状態とよく似ていると言われます。

 

酔っぱらっていたときのことは、後で何も覚えていないこともあれば、おぼろげに何かやっていた記憶が残っている、という人もいるでしょう。しばらくしてお酒が抜ければ、もとの自分に戻り、言動ももちろん、正常に戻るはずです。

 

原因がなくなれば元に戻るのが「せん妄」

3高齢者でせん妄を起こした人の場合も同じことが言えます。なんらかの原因で意識障害とそれに伴う症状が出ても、原因がなくなれば元に戻ります。支離滅裂な言動や、幻覚なども消えて、普段のその人に戻るのです。せん妄があったときの自分のことを、全く覚えていない人もいれば、おぼろげに覚えている人もいるようです。

 

認知症と決定的に違うのがこの「元に戻る」ことです。相談者のお母さまは、普段自宅では幻覚や妄想のようなものはないということですので、施設に宿泊しているときにだけ現れるこれらの症状は、一過性の症状であるせん妄によるものである可能性が大きいのです。

 

高齢者の「せん妄」の原因はさまざま

高齢者では、せん妄を経験する人が多いといいます。認知症を持っている人は、より多く経験するようです。介護の必要な方では、およそ6~7割の人が経験するのではないでしょうか。下記は、高齢者にせん妄をひき起こす原因を簡単にまとめたものです。

 

●高齢者にせん妄をひき起こすさまざまな原因
環境の変化
引っ越し、旅行、入院、部屋の模様替え、来客、家族の不在など

感染症(発熱を伴う)

尿路感染症、肺炎、インフルエンザ等など

 

脳の疾患
脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、認知症など

 

代謝異常
糖尿病(低血糖・高血糖発作)脱水、電解質異常、腎不全、肝不全など

 

循環器疾患
うっ血性心不全、急性心筋梗塞、不整脈など

 

その他の身体の状態
睡眠不足、便秘、痛み、尿閉、貧血、悪性腫瘍、視力や聴力の低下など

 

特別な事情
拘束などによる感覚遮断、全身麻酔、外科手術など

 

医薬品
睡眠薬、抗認知症薬、抗パーキンソン病薬、利尿薬、H2ブロッカー、消炎鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、市販の風邪薬など

 

上記を見ると、なんでもせん妄につながってしまうじゃないか、と思ったのではないでしょうか。こんなにも原因が多いのは、高齢者では、脳や神経の機能も弱っているからです。ですが、先に書いたように、せん妄は認知症の進行と違い、「元に戻る」「一時的な」症状です。原因を取り除くことができれば、穏やかに過ごすことができるのです。

 

次回は、せん妄が起きたときどうしたらよいのかを、医療と介護の両方の視点から考えます。

 

●「せん妄はなぜ起きる?」の記事をすべて見る
●「在宅医 ドクター上條に聞く」のコーナーをすべて見る
●「高齢者のかかりやすい病気・疾患」の一覧を見る

 

 

プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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