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看取りに向けて起こる、高齢者の身体の変化「家で亡くなるということ」1

2016年4月8日

今回のテーマは、「家で亡くなるということ」。
病院から、自宅や老人ホームへ療養の場が移ってきているいま、家で亡くなる方もこれから増えていくでしょう。ただ、本当に家で看取ることができるのか、具体的にどうしたら家で看取れるのか、不安に思っている方も少なくないと思います。
今回から4回シリーズで、「家で亡くなるということ」のケースをみていきます。
家での看取りを少しでもイメージしていただけたらと思っています。
<回答:上條内科クリニック 院長 上條武雄 / 構成・文:星野美穂>

 

 

【質問 自宅での看取り、本当にできるの? ~89歳 要支援1】

父が家で死にたいと話しています。でも、家で亡くなるということがイメージできません。
(相談者:娘)

 

1同居している父が、「死ぬときには、病院ではなく家で死にたい」と言います。
幸い父はまだ元気ですが、まもなく80代後半になります。今から最期のことを考えておかないといけないのかなと考えています。

 

ただ、家で亡くなるということがどういうことか、イメージがつきません。
いくら「家で看取る」と言っていても、いざとなったら怖くなって救急車を呼んでしまうかもしれません。
ご家族を家で看取った方は、どのようにして、乗り越えられたのでしょう。

 

 

【 上條先生の回答 】

誰もが最初は明確なイメージはできません

2家で看取るといっても、大抵の患者さんは在宅療養を開始した直後はお元気です。ご家族も、最期のことはまだイメージできていないことがほとんどでしょう。

 

以前、訪問診療にうかがわせていただいていたHさんもそうでした。
心筋梗塞で倒れたあと、大きな病院で手術を受け、リハビリ病院でのリハビリを経て自宅で療養生活をスタートさせました。
病気の後遺症で、以前のように身体は動かず、介護サービスを受けながらの療養生活でしたが、話す言葉はしっかりしており、食欲も旺盛。ご自宅で商売をされていたため、店が見渡せる居間から、顔なじみのお客さんとも談笑する毎日でした。
Hさんの身体に変化が現れてきたのは、療養生活が3年目に入ったころでした。
それまで、ものにつかまりながら移動できたのに、一人で立ち上がることが難しくなってきました。店先が見える椅子に腰かけているのが常だったのに、座っていられる時間が短くなってきました。その分、ベッドに横になっている時間が長くなりました。

 

身体の変化を機に、これからのことをイメージする

患者さんが自宅療養を決めたとき、私から、ある程度これから起こる身体や状態の変化についてお話しします。でも、それを完全にイメージできる患者さんやご家族はいらっしゃいません。
最期のことが具体的にイメージできるようになるのは、Hさんのような身体の変化が現れてから。
変化が現れたことをきっかけに、「最期のときに向かって、こうした変化が少しずつ進んでいきますよ」とお話ししています。

 

本人と家族の気持ちをすり合わせる

最もよく見られる変化は食欲です。
この連載の「無理に食べさせるべき?」でもお話ししましたが、人生の最期に向かい、身体が栄養や水分を必要としなくなると食欲が衰えてきます。
ただ、ご家族はなかなかそれを受け入れることができません。「食べないから元気が出ないのだ」と考えて、とにかく食べて欲しいと患者さんに訴えます。

 

Hさんの奥さんも、同様でした。
好物を机に並べたり、栄養剤を買い込んできたり、なんとかしてHさんにものを食べさせようと奮闘していました。一方、Hさんは思うように食べられず、申し訳なく思っていたのです。
ある日、奥さんが席を外したすきに、「この先、本当に食べられなくなったら、どうしたい?」と聞くと、「俺は延命も嫌だ、点滴も嫌だ。このまま自宅で死にたい」とはっきりおっしゃいました。
「わかりました。ただ、まだ奥さんは頑張って欲しいという気持ちでいらっしゃる。お二人の気持ちの間を、きちんと取り持ちますね」とお約束しました。

 

「最期」を受け入れるまでの紆余曲折

そのときは、奥さんも、Hさんに元気になってほしくて頑張っているという状況でしたから、一概に「それはダメだよ」とは言えません。
でも、ある日、食べて欲しくて奥さんが一生懸命準備した食事を、Hさんが残してしまうのを見て、思わず「もうやんなっちゃう」と奥さんがもらしました。それを機に「奥さんも大変だよね。でもHさんも食べてあげられないという辛さもあるんだよね」と話したら、Hさんが「そうだ、俺の気持ちがわかるか」と声を上げたのです。
本人の口から本音を聞いて、奥さんはようやく「自分のやっていることがかえって負担だった」と気が付きました。
ただ、ご主人に頑張って欲しい、元気になって欲しいと願うのは奥さんとして当然のことです。ですから「励ましたことで自分を責めないでくださいね」とお伝えしました。

 

ケアスタッフも思いを共有する

こんなやりとりを繰り返して、患者さんもご家族も、少しずつ患者さんの身体の変化を受け入れていくのです。誰もが最初から、看取りのゴールを目指して一直線のわけではありません。紆余曲折を経て、受け入れていくのです。

 

また、患者さんとご家族、そして主治医だけでなく、訪問看護師やケアマネジャー、ヘルパーなど、自宅療養を支えるスタッフも、患者さんの意思やご家族の思い、それをどう支えるかといったことを共有して同じ方向を進むことが大切です。
私は、在宅医療・介護スタッフと、インターネットの「サイボウズLive」というツールを使って、お互いの情報を共有化しています。(山梨県の在宅医・上條武雄先生の取り組み(3)

 

家族に囲まれ、穏やかな最期を

3Hさんの身体がいよいよ弱ってきたとき、私はHさんと向き合い、「もう最期のときが近いです。でも、心配しないでくださいね。僕が最期までしっかりと診させていただきますから」と伝えました。
Hさんは、大きくうなずいてくれました。

 

ご家族には、これから今まで以上に眠り続けることが多くなるだろうこと、やがて手や足が冷たくなり、紫色になってきたら、死期が近い合図だということ。最期のころは苦しそうな呼吸になるが、本人にはほとんど苦痛はないということ、などを伝えました。
そして、何かあったらすぐに連絡するように伝えるとともに、「最期のときはご家族で見守ってあげてください」と伝えました。

 

それから約1週間後、Hさんは、奥さんと息子夫婦、そして孫たちに囲まれて、おだやかに最期を迎えられました。私が連絡を受けたのは、夜中の1時です。息子さんから「呼吸が止まったみたいです」と電話をいただきました。
「家族で、ゆっくり親父を見送る時間が欲しい」とおっしゃられたため、翌朝になってから、訪問看護師とともにご自宅へうかがい、死亡を確認しました。
一晩、Hさんを見守り、ご家族もいろいろなお話をしたのでしょう。悲しみはあるけれど、おだやかな表情で、奥さんが出迎えてくれました。

 

看取りに必要なのは、思いを伝えあうこと

長い療養生活のなかで、ご家族も、「このまま家で看ていていいのだろうか」と迷ったことはあったと思います。
そうしたなかで、Hさんは自分なりの最期をイメージして、「家で死にたい」という希望を一番身近な奥さんに伝えていました。奥さんもそれならばと覚悟を決め、Hさんを支えました。互いに思いを伝えあったことが、Hさんのおだやかな最期につながったのだと思っています。

 

次回は、病院での看取りのケースから、自宅での看取りを考えます。

 

●「家で亡くなるということ」の記事をすべて見る
●「在宅医 ドクター上條に聞く」のコーナーをすべて見る
●「高齢者のかかりやすい病気・疾患」の一覧を見る

 

●こちらの記事も参考に
→「終末期を家で過ごす」

 

 

プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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