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治療を受ける前に考えたい、医療との付き合い方「高齢者の手術・治療」5

2016年4月1日

再来年、平成30年度には、診療報酬と介護報酬の両方の改定が同時に行われます。この同時改定では、介護における医療の役割をきちんと明文化しようという議論があります。
制度の改革の基本となるのは、ご本人と家族の選択と心構え。これは、地域包括ケアシステムを表現する図(記事下方を参照)にもあらわされています。
介護における医療について、ご本人とご家族がどのように選択し、どのような心構えをもてばよいのか。治療の「やめどき」などとも絡む部分を考えていきます。
<回答:上條内科クリニック 院長 上條武雄 / 構成・文:椎崎亮子>

 

 

【質問 高齢の母の白内障手術はしたほうがよい? ~88歳・要支援1】

高齢でも比較的元気な母。白内障の手術を眼科医から勧められましたが、年齢的にはもう手術などしないほうがよいのでは?
(相談者:息子)

 

先日、眼科検診で母(88歳、要支援1)の目について、眼科医から「白内障がかなり進行してきています。でも今なら手術すればよく見えるようになりますよ」と言われました。数年前に骨折してから多少足が不自由ですが、母には…(続きはこちら)

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  *前回(4回目)3回目2回目1回目はこちら

老人ホームなどの施設に入居中の方は、施設側とも医療について話し合う必要がある

1これまでの4回では、高齢者が手術などの治療が必要と思われる場合に、どのように選択していけばよいのかを実例をもとにお話ししてきました。
主にご本人の状況によって、どう選択できるのか(または選択できない場合があるのか)をメインにしてきましたが、ひとつ、難しい問題がまだ残されています。

 

それは、施設入居の方だとまた、状況が変わるということです。
老人ホームなどは、基本的に入居者の「住まい」であり、医療施設ではありません。施設に嘱託(しょくたく)する医師(施設に医療行為を任された医師)がいて、ある程度看護師が常駐していても、そこですべての医療行為をカバーすることはできないものです。
そのため、入居者に施設での対応ができない医療が必要になった場合、ほとんどの施設は家族に連絡します。そして、家族に判断・対応してもらうようになっているはずです。

 

また、手術が行われて退院した場合に、退院後の治療やケア(定期的な通院や、複雑な投薬や処置)などを、施設で提供される医療体制では担いきれない場合もあります。その場合、施設では受け入れてもらえないため、いったん在宅に戻ったり、受け入れ可能な施設や医療機関を探すことなどが必要になります。ご家族がこの部分を担うことができるかどうかも、治療を始める前に確認しておく必要があります。

 

実は、私の知っているある施設では、このシリーズの質問である白内障は、手術を受けてきてもその後の治療やケアは「施設では請け負い(え)ません」となっています。1日数回の点眼とその確認は、家族が来て行うか、治療の間は自宅に戻っていただくかという選択になるのだそうです。

 

もともと、自宅では暮らすのが難しいから施設介護を受けている方がほとんどでしょう。認知症のある方では、施設から自宅に戻ると、環境の変化で精神的に不安定になる方もいます。ご本人のQOL(生活の質)を上げるための治療といえど、このような問題点も実はあるということを、知っておいていただければと思います。

 

「入院中に認知症が進む」?

2「入院中に認知症が進んでしまう」というのも、よく言われることですが、正しく言うと認知症の周辺症状であるBPSD(行動心理症状)が現れたり、ベッド上で動かないでいることによってADL(日常生活動作)が急激に下がったりするということです。
入院生活に適応できないくらいに認知症が進行していた場合、環境の変化によりさまざまなBPSDが出現しやすくなります。

 

医療機関では、治療(命を守ること)を最優先します。そのため、治療の妨げになるようなBPSD(たとえば点滴の針を自分で抜いてしまうような行為)が出現すれば、拘束(抑制)をやむをえず行うことがあります。ミトン式の手袋をはめたり、場合によっては鎮静作用のある薬を使うこともあります。また、自由に立って歩くことを制限しなければならない場合もあり、トイレで排泄できていた方でもおむつをしていただくこともあります。その結果、ご自宅や施設で「暮らしている」ときより、ADLや認知機能が下がってしまうことになるのです。

 

ときに、治療(命)とQOLやADLを両てんびんにかけなければならないこともあるのが、高齢者の医療の難しいところなのです。

 

治療の「やめどき」とは?

治療の「やめどき」を考えるのもまた、命とQOL、ADLを天秤にかけることのある場面です。いつかは終焉を迎えるのが命です。その終焉にむかって、できるだけ穏やかに、ゆるやかに、最期まで過ごしていくことが理想だとしたら、どこまで「治療」という行為を続ければよいのか。
治療そのものが、ご本人の負担になったり、穏やかな最期を妨げたりするものになるのであれば、「治療をやめる」もまた、大切な選択肢となりえます。

 

輸液治療の高齢者への負担・お看取り期の脱水<高齢者は脱水になりやすい3>の記事でも、治療のやめどきについてお話ししましたので、ご参照ください。

 

お看取り期だけに限らず、そのときそのときの状況や状態に合わせて、「この治療はやめておく、やりたくない」ということは、忘れてはならない大切な選択肢です。ただしそれが、ご本人の(根拠の弱い)思い込みや、家族だけの思惑や、医療者の独断で選択されてはいけないということは、重ねて申し上げておきます。

 

地域包括ケアの図に描かれる「鉢の下のお皿」

地域包括ケアシステムの5つの構成要素「地域包括ケア研究所報告書」厚生労働省 平成25年より

地域包括ケアシステムの5つの構成要素「地域包括ケア研究所報告書」厚生労働省 平成25年より

ここで、地域包括ケアの図をいまいちどよく見てみましょう。3枚の葉っぱの植物が植わった植木鉢と、鉢受けのお皿が描かれています。3枚の葉が「医療・看護」、「介護・リハビリテーション」、「保険・予防」。そして、鉢受けのお皿が「本人・家族の選択と心構え」。
どのような医療や介護を受けるか、といったことは実は「枝葉の部分」であり、何より大事なのが本人と家族の選択と心構えだと、この図は示しています。

 

言い換えれば、「どんな医療や介護を受けたいか」を考えるなら、「どのような選択肢があり、その選択をした場合にどのようなことが起きるのかをあらかじめ知って、心構えを持っておきましょう」ということです。

 

前回のシリーズ「終末期を家で過ごす」と今回のシリーズ「高齢者の手術・治療」で、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)について考えてきました。
ご本人や家族がこのような概念を知っていれば、介護者や医療者と「何を話せばよいか」がぼんやりとでもわかるのではないでしょうか。

 

「その人らしい生き方」のための医療は、難しく考える必要はありません。「これはいい、これはいや」「これさえできれば毎日が楽しい」などの単純なことを発端に、それをどこまで実現できるのか、どこまで守りたいのか、そのためには、医療をどうあてはめていけばいいのか、ということなのです。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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