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認知症や精神疾患で治療や検査ができないときは? 「高齢者の手術・治療」2

2016年3月11日

高齢で、特に認知症のある方では、病気がみつかっても治療することができない場合があります。また、それ以前の問題として、症状があるので詳しい検査をしたいけれども、検査を受けさせることができないこともあります。
苦痛があったり、QOL(生活の質)が下がったりすれば「治してあげられない」とご家族も深く悩むことになります。このような場合はどうすればよいのかを考えます。
<回答:上條内科クリニック 院長 上條武雄 / 構成・文:椎崎亮子>

 

 

【質問 高齢の母の白内障手術はしたほうがよい? ~88歳・要支援1】

高齢でも比較的元気な母。白内障の手術を眼科医から勧められましたが、年齢的にはもう手術などしないほうがよいのでは?
(相談者:息子)

 

先日、眼科検診で母(88歳、要支援1)の目について、眼科医から「白内障がかなり進行してきています。でも今なら手術すればよく見えるようになりますよ」と言われました。数年前に骨折してから多少足が不自由ですが、母には…(続きはこちら)

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  *前回(1回目)はこちら

検査や治療を断念せざるを得ないのはどのようなときか

1周囲の方にとってはつらい話ですが、どうしても検査や治療をしてあげられない、するのは無理という場合があります。主に、2つの理由によります。

 

ひとつは、身体的に、治療に耐えられない場合です。たとえば、心疾患や冠動脈疾患、肺疾患など心肺機能が著しく低下していて、全身麻酔をかけると命の危険があるというような場合です。病気ではなく、治療で亡くなってしまう可能性が高いと判断されるときは、治療を選択できないことがあります。

 

もうひとつは、認知症や精神疾患により、検査や治療を受けるのが困難な場合です。病状によっては本人の理解を得られず検査や治療を行うこと自体が難しかったり、また全身麻酔下で何とか行えたとしても、その後に必要な身体の管理や治療などが困難であると予想されることがあります。

 

ただし、「困難だから行わない」という判断を医療者が独断で行うことは許されません。なぜなら、どのような状態の方であっても、治療を受ける権利は保たれなければならないからです。
可能な限りご本人の意思を確認し、そのうえで医療者とご家族が、検査や治療を受けた場合と受けなかった場合のリスク・ベネフィットを丁寧に話し合うことが重要です。

 

介護するご家族が悩まれるのは、「病気の進行で命が短くなってしまうのではないか」という心配に加え、何よりも「ご本人が強い苦痛を感じるのではないか」ということです。
高齢で、いずれ亡くなるときが遠くないとわかっていても、苦しみながら亡くなることだけはなんとしても避けたいと誰しもが願うものです。

 

病気そのものを治すことができない場合も、最後までご本人のQOLを保つようにすることが大切です。

 

がんの可能性があったけれども手術や抗がん剤治療ができなかったAさんの例

在宅医として、何度か経験したことのある例をご紹介します(特定の方のお話しではないことをお断りしておきます)。

 

認知症が進行しており、心疾患もあるAさんは、あるとき血液検査で貧血がわかり、ついで便検査で便潜血反応(便の中に血液が含まれている)がみられました。これらから消化管の病気が強く疑われましたが、結局Aさんにはそれ以上検査もせず、積極的な治療も行わずに、緩和的な治療をしながらお看取りをしました。

 

血液検査は採血だけですむので、認知症のある方でも腎機能や肝機能を評価するために、年に何回か行います。便検査も便だけ採取できれば本人が検査にいく必要はありません。
しかし、ここから先、消化管の中で実際に何が起こっているかを調べることは、Aさんにとっては簡単なことではありません。

 

2便の中に血液があることから、消化管の出血による貧血だと想定できます。でも、出血が胃からなのか腸からなのか、それがどのような病変からなのかは、内視鏡やバリウムを飲んで行う消化管X線検査でなければ診断がつけられません。

 

Aさんの認知症の状態では、内視鏡を入れることや、下部消化管内視鏡の前に多量の下剤を飲んで洗腸する準備が必要なことなどはとても理解できないと思われました。下剤を飲めなかったり、検査中に恐怖を感じて暴れてしまったりする恐れが強かったのです。

 

循環器科と麻酔科の医師が心疾患の状況を評価して、全身麻酔をかけての検査も難しいと判断しました。
よしんば検査ができて「がんがある」などがわかったとしても、手術や抗がん剤の治療は同様の理由で無理だろうと思われました。結果として、治療ができないのであれば、最初から内視鏡検査もしないほうがよいのではという意見となりました。

 

私は、血液検査と便検査の結果と、上記の医療者の意見を踏まえ、介護するご家族と、今後起こりうることの情報共有をまず行いました。

 

(1)これまでの検査結果や症状から、可能性のある病気の種類
(2)確定診断がつかないが、病気の治療をどのように、どこまで行うことができるのか
(3)病気が進行すると、どのような状態になる可能性があるか
(4)ご本人の余命や、QOL、ADL(日常生活動作)はどのように変化すると考えられるか
(5)亡くなることが予想される場合、苦痛をとりながら、おだやかな看取りをするにはどうすればよいか

 

たとえば、前述の貧血と便潜血からは、
(1)胃潰瘍か胃がん、あるいは大腸がんが疑われる。
(2)胃潰瘍であれば投薬治療で治癒が可能だが、胃がんや大腸がんでは、病巣をとることができないので、症状を抑えていく対症療法になる。組織をとって確定診断ができなくとも、血液検査による腫瘍マーカーや、短時間で済むX線検査で、ざっくりと病状を把握していくことはできると思う。
(3)がんであれば進行すると食事ができなくなったり、腸閉そくを起こしたりすることがある。体力のあるうちに腸閉塞が起こった場合は、苦痛をとり、食事ができるようにするためだけの手術(姑息的手術といいます)をするかどうかの判断に迫られるかもしれない。
また、転移によるさまざまな症状や、がんによる痛み(がん性疼痛)が出る可能性もある。
(4)がんのために亡くなることも考えられる。症状によってはQOLもADLも大きく下がっていくだろう。
(5)抗がん剤は使えないかもしれないが、がん性疼痛が疑われる症状であれば、モルヒネも使って痛みのコントロールを最大限していける。できる限り口から食べ物がとれるように考えていく。がんによる衰弱で食欲がなくなり、眠っている時間が多くなる場合、最後は、老衰と同じような経過をたどることも考えられる。

 

起こりうることや、できること、できないことをあらかじめ予測しておくことで、本当にそうなった場合に、ご家族も含め冷静に「どのような選択をするか」の判断ができます。延命的な処置をするかしないかも、時間をかけて考えることができるのです。
苦痛への対処ができるとわかっていると、ご家族は安心していられることも多いものです。

 

次回は、手術などの治療を行う判断をするのはどのようなときかについて、見ていきます。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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