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胃ろうを付けても穏やかな最期は迎えられる「胃ろうは、はずせるの?」4

2015年10月16日

「在宅医ドクター上條に聞く」、テーマ「胃ろうは、はずせるの?」の第4回です。最終回の今回は、胃ろうをつけて3年間、在宅介護を受け、穏やかな最期を迎えられたOさんの例を紹介します。
当初、Oさんのからだの機能が弱っていくことを受け入れられなかった娘のYさんも、日々、母の介護に向き合うなかで、「母を穏やかに送り出すことが使命」と受け入れていきます。
胃ろうの是非が論じられていますが、胃ろうであっても家族の覚悟により穏やかな最期を迎えることができるということを感じていただければと思います。
<回答:上條内科クリニック 院長 上條武雄 / 構成・文:星野美穂>

 

 

【質問 胃ろうについて ~78歳・要介護度5】

口から食事が摂れなくなり、胃ろうを勧められました。胃ろうは一度作ると、もう外せないのでしょうか。

父が脳梗塞を起こし入院。食事が飲み込めなくなりました。主治医からは胃ろうを勧められています。美味しいものを食べることが何より好きだった父が、もう食べることができないのかと思うとかわいそうでなりません。胃ろうは一度作ったら… 続きはこちら

 

 

【 上條先生の回答 】前回からの続き  前回(3回目)、2回目、1回目はこちら

誤嚥性肺炎から胃ろう手術へ

いろう1私が訪問診療に伺っていたOさんについてご紹介したいと思います。

 

Oさんは、85歳の夏、誤嚥性肺炎を起こし入院しました。2週間ほどの入院の末、肺炎は治りましたが、安静が長く続いたため筋力が弱り、食べ物を飲み込むことができなくなってしまいました。

 

Oさんと同居していた娘夫婦は、退院にあたり、主治医から「胃ろうを作るかどうか」を問われました。胃ろうをつけなければ、近いうちに自然死を迎えるだろうとも説明を受けました。

 

このとき、娘夫婦はいったん、「胃ろうはつけない」という選択をします。

 

まだきちんとした考えもまとまってないまま、「すでに母は終末期であろう」と考え、「胃ろうは自然摂理に反する、いけないことだ」というイメージを持っていたためです。

 

しかし、その後転院した回復期病院で、栄養剤(高カロリー輸液)を入れながらリハビリを行い、言葉を発することができるようになるなど回復。そんなOさんを見て、娘のYさんは「どんな形でも母に生きていてもらいたい」との気持ちに変わり、胃ろうを作って在宅で介護していく覚悟を決めます。

 

「気持ちが受け入れられない」

私とは、在宅でOさんの介護を始めたときからの関わりです。

 

胃ろうを作ってから約3年間、Oさんは、褥瘡(じょくそう)ができたり、感染症により熱を出したり、血尿となるなどトラブルもありましたが、小さく上がり下がりを続けながら小康状態を保っていました。Yさんも、それは献身的にOさんを介護されていました。

 

私は、折にふれて、Yさんに胃ろうのメリットとデメリットを説明していました。つまり、「現在は栄養を入れていればからだを維持できている期間だから、胃ろうという選択は良かったと思う。でも、いずれからだが衰えてきたときに、栄養が利用できず、胸や腹に水がたまったり、むくみが出たり、痰が増えて呼吸しにくくなるなど、Oさんが苦痛に感じる時がやってくる。そのときどうするかを今から考えておきましょう」などをお話ししたのです。

 

Yさんも、理屈としては理解されていたようです。しかし、痰が増え、むくみがひどくなり、栄養の減量を提案しても受け入れていただけないこともありました。

 

「いずれ、栄養を減らさなければいけないと理解はしているが、今が本当にそのときなのだとは、気持ちが受け入れられない」と、一晩中悩むこともあったようです。

 

それでも、「では、1週間、少しだけ減らしてみましょう」と提案し実行していただくと、Oさんのむくみや痰が少なくなり、呼吸が楽になって笑顔を見せてくれます。すると、「やってみて良ければ続けるし、違えばまた考えればいいのですね」と、だんだん受け入れていただけるようになりました。

 

「自分が、減らすという決断をしなかったことで、かえって母に苦しい思いをさせてしまったことに気づいた」とも話してくださいました。

 

穏やかな時間のなかで迎えた最期のとき

いろう2それでも、血液検査値が悪化し、Oさんのからだが栄養を利用できていないことが明らかとなり、栄養中止となったときには、「食事の代わりに栄養ドリンクを入れたい」と申し入れてきました。母のために何かせずにはいられない、そういう心持ちだったのでしょう。その段階では栄養ドリンクが力になるとは思えませんでしたが、娘さんの気持ちを考えて注入を許可しました。

 

こうして少しずつ、時間の経過とともにからだの機能が衰えていくOさんと向き合うなかで、ある日、「これまでは良くなるように治療できるならと考えて介護していましたが、今は母が苦しまないように、穏やかに送り出すことが使命と考えられるようになった」と話されました。

 

こう話されたあと、しばらくしてOさんは肺水腫を起こされました。肺に水がたまり、呼吸が障害される状態です。何か特定の原因があったわけでなく、生命体としての限界の時がきたと感じました。Yさんもそれは感じていたようで、自宅での看取りを決意されました。

 

栄養の注入を中止し、ほんの少しの水分を入れるだけで、ゆっくりゆっくりゴールに向かうOさんを、Yさんはご主人とともに見守られました。これまでの介護処置に追われていた時間が 寄り添い声をかけ手を握りしめる時間に変わり、なんとも言えない、穏やかなゆったりとした時間が流れていました。約1週間後、Oさんはご自宅で、娘夫婦に見守られて旅立たれました。

 

「呼吸が止まったみたいです」との電話をいただき、訪問看護師とともにご自宅を訪問し、死亡を確認しました。

 

からだに備わった全ての力を使い切った、自然の死でした。こんな状況にもかかわらず、新たな褥瘡も作らず、肺水腫も良くなって、きれいに旅立たれました。

 

胃ろうであっても、旅立つ時期を見極めて、そのときのからだの状態に合わせた調節ができれば、自然死と同じように穏やかに旅立つことができます。胃ろうを持つ患者さんのご家族には、ぜひ知っておいていただきたいことです。

 

次回からは、新たなテーマ「話しかけても答えない寝たきりの母。聞こえているのでしょうか?」です。

 

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プロフィール

kami上條内科クリニック院長・医学博士 上條武雄先生
1992年慈恵会医科大学卒業後、2003~2007年まで上野原市立病院内科勤務。2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。

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